ムートン・ロートシルトの醸造家も舌を巻いた規格外のボルドーAOC!名名もなき小さなシャトーが造る、AOCボルドー・シューペリュールという概念では評価しきれないメドック仕込みの極上ワイン!樽熟成の可能性を再認識させられる、これぞ掘り出し物のワイン!下手なサンテミリオンより完成度が高いです・・・。
◆Chateau Freyneau シャトー・フレイノー
シャトー・フレイノーは、1897年より続く歴史あるシャトー。ボルドーとサンテミリオンの間、ガロンヌとドルドーニュからそれぞれ10kmずつ離れたモントゥサンに位置します。現在は55ヘクタールのブドウ畑を所有し、ブドウ樹の平均樹齢は約35年。シャトーは2019年から【Haute
Valeur Environnementale】というサスティナブルの認証を受けています。
現当主はEric Maulin(エリック・モーラン)が務めます。エリックは、シャトー・ラトゥール、ムートン・ロートシルト、ラフォン・ロシェ、ポンテ・カネなど、数々のボルドー格付けシャトーで醸造経験を積んだ醸造家。
◆“樽熟成の魔術師”
“樽熟成の魔術師”と謳われるエリックは、収穫したブドウの状態を見極め≪ワインの可能性を最大限に引き出す為の樽熟成≫を行います。使用する樽にはかなりのこだわりがあり、仕込むワインに対してメーカーや木の産地・製造工程まで細かく指定して作らせます。
また、樽の原材料には樹齢が高く木目の細かい物を指定します。木目が細かい方が樽熟期間中にワインへの酸素供給がされやすいからです。これによりワインの舌触りがまろやかになり、結果的に完成度の高いワインに仕上がります。
【樽熟成】について話をする時、大抵は“樽香”の話に意識が向きます。もちろんそれも重要な事ではあるのですが、【樽の材質によるワインへの酸素供給の話】をするのはエリック以外に出会った事がありません。彼に樽の話をさせると何時間もその話に付き合わされる羽目になります・・・。これが“樽熟成の魔術師”と言われる所以です。
このような目には見えない技術一つ一つを積み重ねる事によって生み出されるエリックのワイン。今回ご紹介するワインは、AOCこそボルドー・シューペリュールですが、我々が持っているそのイメージを見事覆してしまうほどのワイン・・・これぞ“メドック仕込み”と感じさせてくれるワインです。
◆ムートン・ロートシルトの醸造家が負けを認めた!
かつてエリックが、シャトー・ムートン・ロートシルトの醸造家とブラインド・テイスティングで出来上がりのワインを競った時、ムートンの醸造家がエリック氏のワインを「これは自分のワインではない。自分のワインより優れたワインだ、負けた・・・」とまで言わしめたといいます。エリックのワインがいかに完成度が高いものかがお判りいただける逸話だと思います。
実際にこのワインを飲んでみると、素晴らしい樽熟成の技術とポテンシャルを感じる事が出来ます。メドックのカベルネ・ソーヴィニヨン主体のワインであれば十分理解出来るのですが、この地域の、しかもメルロー主体のワインでこれほど熟成能力を持つワインには出会った事がありません。
同じメルロー主体のワインが造られるポムロルやサン・テミリオンの下手なワインなら、残念ながら10年経てば果実味もなく単に熟成感だけが残るワインはいくらでも存在します。しかし、エリックのワインは違います。キュヴェ・トラディションは、この時点で8年熟成、そして、このレベルの生き生きとした酸と果実味を保っている・・・素晴らしい!これ、本当にボルドー・シューペリュールなんでしょうか??